玄奘三蔵と興教寺
唐代にシルクロードを通り16年かけてインドから仏教の経典や仏像を持ち帰り、経典の漢訳に従事した三蔵法師こと「玄奘三蔵」は、664年に62歳の生涯を閉じます。
「兴教寺(シンジャオスー:興教寺)」は669年、玄奘三蔵の遺骨を葬るために創建されました。もとは西安の東の「白鹿原」にあったのが、後に現在の西安の南、「風栖原」に移されました。
唐末に起った「黄巣の乱」の際、玄奘の遺骨が納められた舎利塔は破壊され、玄奘の遺骨は行方知れずとなりましたが、現在までに一部発見され、この興教寺を含め、アジアの各地域の仏教寺院に散らばっています。
興教寺は2014年にはユネスコ世界文化遺産「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」の一部として登録されました。
訪問記
興教寺は西安の南、農村地帯にあります。
例として大雁塔から路線バスで行くルートを示します。
上の画像では所用時間1時間51分と表示されていますが、実際はそんなにかからないと思います。
郊外を走る路線バスは料金を車掌さん(だいたいおばさん)に渡す方式ですので、車掌さんにはっきりと大きな声で「シンジャオスー!」と伝えましょう。
ボソッとした声で言うと「アアッ?」と凄まれますが、怖がる必要はありません(笑)
いつ頃到着するのか不安になったら、「シンジャオスーナ?」と何度か聞いてみると、車掌さんも気にかけてくれますから、到着すると教えてくれます。
降りた場所をよく覚えておきましょう。
帰りは同じ場所で待っていれば帰りのバスが通りかかりますので、手を挙げて乗る意思を示しましょう。
興教寺へ続くと思われる道をトボトボ歩きます。
道は次第に勾配のある坂道となり、眼下に農村の家並みが見下ろせます。
到着しました。
「護国興教寺」というのがより正式なようです。
寺院の敷地内は閑静で居心地よいものです。
日本から送られた石塔が奥にあるようです。
この小さな石塔には玄奘三蔵のお弟子さんの舎利が納められているそうです。
奥に見えるのが玄奘三蔵の舎利が納められた舎利塔です。
830年に建てられましたが、度々の騒乱や戦火による損傷に悩まされ、その都度修復を重ね、現代に至っています。
仏殿の中に見えるのが玄奘の像。
静かな農村の寺院の中で、三蔵法師さまは今も弟子たちと共に永い眠りについています。