たけし映画っぽい雰囲気がムンムンしている
最初は監督:深作欣二の予定だった
2023年9月、自宅で鑑賞。
1989年公開、監督:北野武、主演:ビートたけし
たけしの映画初監督作品ということで映画史に燦然と輝くこの作品は、すでに「たけし節」が炸裂していて観る人を虜にしますね。雰囲気が違います。
世界のクロサワとの対談で、右も左も分からずにこの映画を撮った当時の様子を面白おかしく話していましたが、撮影を終えた時には周囲のスタッフも舌を巻いて白旗を挙げていたのではないでしょうか。
たけしの映画は会話が少なく、それが独特の雰囲気を醸し出すのに一役買っていることはよく言われることですが、時折繰り出される言葉のキャッチボールには独特のおかしみがあり、思わず吹き出してしまいそうになります。
映画の冒頭、港のシーン(白竜と遠藤憲一)では古今亭志ん生の「黄金餅」が流れていました。
白竜と佐野史郎がよい
岸部一徳は言わずもがなですね。何なんでしょうねこの人は。同じ雰囲気でコメディもできてしまうし。
白竜と佐野史郎は目つきが同じですね。役柄を入れ替えても違和感なかったんじゃないでしょうか。白竜がキャリア組の警察署長というのは無理があるか。
音楽もよい
音楽の久米大作さんは久米明さんのご子息にしてT-SQUAREの前身であるTHE SQUAREに在籍。
たけし映画の音楽は久石譲しかり鈴木慶一しかり、シンセの音色を好む傾向がありますね。
まあこの映画に関してはギリギリ80年代ということで、単にシンセの音が流行っていたというのもあるんでしょうけど。
無機質で感情を廃したような、けれども陽が暮れて子どもたちが片付け忘れた遊び道具が残っているかのような、残り滓のような情緒を感じます。
脚本の野沢尚さんは、2004年に亡くなられていたことを初めて知りました。
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