西安近郊にある前漢の景帝の陵墓「陽陵(漢陽陵博物館)」の訪問記です。
前漢第6代皇帝・景帝
景帝(在位:紀元前157年ー紀元前141年)は前漢の第6代皇帝で、漢を興した初代皇帝、高祖(劉邦)の孫にあたります。
即位後まもなく景帝は諸侯の引き締めを図ります。それまで多くの地方を高祖の血筋を引く家柄が半独立国家のような形で治めていましたが、戦乱から久しくなり国力が回復するにつれ、中央政府の言うことを聞かない諸侯も出てきました。
この引き締めにより発生した諸侯の反乱「呉楚七国の乱」を平定することにより、景帝は諸侯の権力削減に成功します。
内政においては父の文帝と同様、倹約と減税に努め、戦乱によって荒れた国を安定させることに力を注ぎました。
漢の国家の基礎を築いたこのこの2代の皇帝の時代は「文景の治」と呼ばれています。
「漢陽陵博物館」を訪ねる
景帝の陵墓のある「漢陽陵博物館」は西安市街の北の郊外に位置しており、路線バスが出ているので容易にアクセスが可能です。
以前に高祖劉邦の陵墓を訪ねた時、この「漢陽陵博物館」を経由しました。
下記リンク先に路線バスの乗車位置などを記載していますので、参考になさってください。
https://kang-fu-lu.com/2017/12/06/changling/
「陽陵」は20平方キロという広大な敷地の中に、2つの陵墓がそびえています。景帝と2人の皇后のお墓です。2番目の皇后は第7代皇帝である武帝のお母さんです。
区画整備が行き届いており、気持ちよく見学ができます。
ただ、他の陵墓は登ることができますが、陽陵は周囲に柵があり登ることができませんでした。陵墓の上から周囲を見渡すのが好きなのですが。
博物館には陽陵から出土した「漢俑」が展示されています。
60センチほどの人形で、秦の始皇帝の兵馬俑の兵士よりだいぶ小さいです。
腕が取れていてちょっと薄気味悪いですが、もともとは可動式の腕が装着されており、衣服も着ていたそうです。
元祖フィギュアといったところでしょうか。
陵の内部を見学することができます。地下博物館です。埋葬品が収められていた場所を実際に見ることができるのです。
これはなかなかポイントが高いと言えるでしょう。
質素倹約の政策を推し進めた一方で数多くの埋葬品が収められていたというのはちょっと面白いですね。
それだけ国力が回復し、「文景の治」が着実に実を結んでいたという証でもあるようです。
漢陽陵博物館:陕西省咸阳市渭城区正阳镇 漢陽陵