2018年の端午節(6/16-6/18)の連休に2泊3日で甘粛省金昌市永昌県を旅した訪問記(3)です。
その1、その2はこちら!
甘粛省永昌訪問記・その3
2日目・永昌郊外の寺院などを訪ねる
甘粛省金昌市永昌県の旅、2日目です。
- 雲庄寺石窟
- 花大門石窟
- 漢代の長城跡
- 聖容寺塔
- 永昌武当山
を周り、夕方、金昌の駅から列車で西安に戻ります。
甘粛省永昌訪問記 2日目
永昌2日目の朝、宿の周りを散歩しました。
この辺りは西安などと違い、チェーン展開されている青海化隆系の蘭州牛肉ラーメンの店は見当たらず、独自のカラーを打ち出した牛肉麺の店が多いです。
朝の鼓楼。
永昌郊外の田園風景
朝9時に昨日のタクシー運転手、王さんに迎えに来てもらいました。
まずは永昌の街の南35キロほどの場所にある「云庄寺(ユンジュアンスー:雲庄寺)」を目指します。
途中、よく作物の実る田野を通過。祁連山脈の雪解け水の恩恵を受けています。
よく晴れており、ドライブにはもってこいの日和です。
時間が経ちいよいよ陽射しが強くなりました。わたしは半日助手席に乗っていたため、半袖を着ていた右腕だけ日焼けをしてしまいました。
景色は次第に田野から荒野に。
やはりこちらの方が甘粛(ガンスー)の風景という感じがします(笑)
雲庄寺石窟
10時過ぎに雲庄寺のある山のふもとに到着。
運転手の王さんも一緒に登り始めましたが、王さんは途中で足取りが重くなり置いていきました(笑)
だいぶ高い所までやって来ました。
山の斜面にロバがいました。
スタートから20分ほどで雲庄寺に到着。
規模は小さく寺院というより祠(ほこら)という感じです。
けれど創建は晋代(西晋:西暦266年〜316年)ということで、かなり1700年以上の歴史を持つ寺院です。
仏殿の上方にある山の斜面に小さいですが石窟が造られています。
さらに上にも部屋があるようでしたが、足場の作りが悪く、五体満足で戻ってくる自信がなかったため見学は断念しました。
王さんがようやくやってきたので一緒に寺院の裏手にある展望台に行ってみました。
王さんは何度かこの場所に来たことがあるらしく、
「雲がない時にここから見える景色は最高なんだ、今日はちょっと雲があって残念だね」
と、口惜しそうでした。
花大門石窟
永昌の南にある雲庄寺から、今度は北にある「圣容寺塔(シェンロンスーター:聖容寺塔)」を目指します。
途中、ボタン畑を通りました。
途中、牛肉麺を食べて腹ごしらえをし、北に向かいます。
王さん曰く、
「さっきの牛肉麺はあまり美味しくなかったね。あの店は回族の店じゃないんだよ」
とのこと。
牛肉麺はやはり回族に一日の長があるようです。
しばらく荒野をひた走っていると、「花大门石窟(フアダーメンシークー:花大門石窟)」という標識を通り過ぎました。
事前の調査で存在は確認していたものの、場所がわからず訪問を断念していたのです。
これは運がいい。王さんもこんな場所に石窟があるとはご存知なかった様子。
2人で見学をします。
西夏王国(西暦1100年代)の時代に造られた石窟であるとされています。
岩山に人工のものと思われる穴が開いていることは確認できますが、その中に仏像などが彫られている様子はありません。
しかしこんなところにも誰かがお参りをしにくるのか、お線香やお供えものの跡が確認できました。
所々、人為的に小石が積まれた跡が見て取れます。
漢代長城
花大門石窟を出て10分ほど北に行くと、万里の長城跡が視界に現れました。
王さんによると漢代に造られたものだそう。長城の中でもかなり古い部類に入るでしょう。
かつてこの辺りは国境で、匈奴との争いが絶えない地域だったのかもしれません。
ここに写っている男性が王さんです。
石碑を見つけました。この石碑自体もなかなか年代物です。
聖容寺塔
さらに車を飛ばすと、高台に塔の立っているのが見えてきました。聖容寺塔です。
聖容寺は唐代に玄奘がインドへの旅の帰路に立ち寄った記録の残されている由緒ある寺院です。
印象的な塔も唐代に建てられたようです。
石積みの習慣があるようです。さきほどの花大門石窟でも小石の詰まれているのを見かけました。
塔の立つ高台に登り、写真を撮り、しばらくボーっとします。
西安から列車で13時間。
なんとなく、「なんのためにこんなところまで来たんだろう」
という根本的な感じの疑問を抱いてしまう、そんなことを考えてしまう雰囲気が、この荒野に佇む寺院からは醸されてきます。
来たいと思ったから来たんですけどね。
永昌武当山
永昌の街に戻ります。夜の列車で西安に戻る予定なので、まだ時間があります。
王さんが「武当山に行ってみるか」と聞いてきたので行ってみることにしました。
「その代わり20元プラスね!」と言われてしまいました。
武当山とは湖北省十堰市にある世界遺産が有名ですが、永昌にも武当山があり「永昌武当山」と呼ばれているようです。
入口から永昌武当山の全貌を眺めることができますが、なかなか壮観です。
さすがにこの山に建てられた道観を全て見て回る時間も体力も残されておりませんので、一番初めにある大きな楼閣を見学して退散とします。
その後、永昌のバスターミナルまで王さんに送ってもらい、お金を支払い、お礼を言って別れました。
また永昌を訪れることがあればぜひ王さんにお会いしたいと思いますが、果たしてその機会は訪れるでしょうか。
旅をしていると思いがけない出会いがあり旅の醍醐味のひとつですが、それは旅の終わりに必ずお別れがあることも意味しています。
さよなら永昌。
夕方の列車で西安へ
金昌駅前ターミナル。
金昌駅構内。
金昌の駅で、わたしの切符の列車のひとつ前の列車に空席があったので售票处(ショウピャオチュー:切符売り場)で切符の変更をしてもらい、予定より早く金昌を経ちました。
金昌駅ホーム。
寝台ベッド。
甘粛省に少しずつ夕闇が訪れます。
車窓からゴビ灘の風景を眺めます。
わたしにとってゴビ灘は中国の気の遠くなるような広大さの象徴です。
細かいことは気にしない中国人の大らかさを、この風景を見ていると何だか感じ取れるような気がしてくるのです。
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
(終わり)