三国志は中国史の中で日本人に最も知られた時代のひとつかと思います。
長く親しまれてきた吉川英治の小説「三国志」やゲームがあり、私も子供の頃から三国志に触れてきたクチです。
中国では「志」を取って単に「三国(サングオ)」と言います。
今回は2泊3日で「三国志」遺跡を訪ねる旅に出かけます。
三国の中でも最も強大な力を持った「魏」の都であった、河南省「許昌」市と、許昌の南西にある「南陽」市を訪ね、スキあらば河南省の美味しいものをいただいて参ります。
三国志・魏の都を訪ねる(許昌→南陽)
西安から夜行で許昌へ
2018年9月の中秋節の連休(9/22-24)を利用して、西安から河南省の許昌、南陽への旅。
まずは連休前日の9/21の夜行列車で許昌へ。
許昌は西安からほぼ真東、約500キロの場所にあります。約9時間で許昌に到着です。
ちなみに帰りは高速鉄道で帰りましたが、2時間半という速さでした。
中秋節の三連休前の西安駅へ。
西安駅の最寄りの地下鉄駅「五路口」駅近くで書画を売る露店。
見た感じ、どれも大変立派な作品ですがこのような場所で買う人がいるのでしょうか?
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荷物チェックへ並ぶ行列。連休前だからこんなに人が多いのか、単に列車が多く到着する時間帯なのかは不勉強にしてよくわかりません。
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西安ローカルフード「肉夹馍(ロウジアモ)」のチェーン店。
西安の飲食店もどんどんナウい感じになっていきます。
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身分証確認を通過し、入口の電光掲示板で改札口をチェックして、駅構内に入ります。
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椅子はほとんど満席なので、改札開始までぶらぶらします。
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改札を開始したようです。
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行列に混ざり、改札を通り過ぎてホームに向かいます。
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わたしが乗るのは新疆ウイグル自治区のウルムチから湖北省武漢市の漢口行きの列車です。
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寝台車でひと眠りすれば夜が明けてその頃には河南省に入っていることでしょう。
おやすみなさい。
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おはようございます。河南省の省都「鄭州」の手前です。
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朝6時半、許昌駅に到着。
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許昌駅。
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駅のはす向かいに許昌バスターミナルがあります。
地図アプリを見ると近くに「豪華バスターミナル」というのもあるのですが、再開発のためすでに取り壊されています。
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ここからバスに乗って南陽に行くのですが、窓口に行ったら6時50分発の切符の発売がちょうど締め切られてしまい、1時間ほど時間を潰す羽目に。
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バスターミナル前で朝食を売る屋台がちらほら。
この辺りでは、西安で「肉夹馍(ロウジアモ)」だったのが「馍夹肉(モジアロウ)」として売られています。
面白いですね。中国語の文法的には馍夹肉(モで肉を挟む)の方が正しいようです。
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バスターミナル構内。
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南陽行きのバス。4時間近くかけて南陽市街に向かいます。
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出発してしばらくして停車して運転手さんが降りて朝食を購入。少し休憩らしくお客さんも降りてタバコをふかしています。
中国の長距離バスに乗るとよくある風景です。
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許昌から南陽へ移動
再度出発して高速道路に乗ると南陽に向かってひた走ります。
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南陽の高速道路出入口で降車しました。
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ここから蜀の将軍「黄忠」の故郷である夏餉鋪村(シャーシャンプーツン)に向かいます。
蜀の将軍「黄忠」の故郷「黄忠故里」
さて、時刻は正午近く。できれば腹ごしらえをしてから目的地に向かいたいものです。
折良く飲食店が何軒か並んでおり、その中でもとりわけお客さんの多い店に。
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いい感じです。いかにも農村の食堂!
これこそ私の旅で求めているものです。
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ここは羊肉汤、羊肉烩面が売りのお店で、要は羊がメインなのであります。
河南省もけっこう回族が多く、羊をよく食べる地域なのです。
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外のテーブルの席に座って待っているとやってきました羊肉烩面(ヤンロウホイ麺)。
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羊が煮込まれて白濁したスープにたっぷりの平打ちの麺が泳いでいます。
上にかかっているのは香菜(パクチー)です。
麺に濃厚なスープがよくからみ、食べ応えがあります。
完食後、げっぷをしながらしばらく休憩してから出発。
近くのバス停から「新店乡(シンディエンシャン)」行きのバスに乗って終点で降り、農村を道なりに北へ歩いていきます。
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トウモロコシの実を干しています。
元気よく遊んでいた子供たちにスマホを向けたらちょっと引かれてしまいました。
ごめんなさい。
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トウモロコシはそのまま食べるだけでなく、家畜の餌やお粥やお茶にするために実を乾燥させて商品化します。
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農村の住宅街を抜けると畑が広がります。
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貧困から脱しよう!という地元政府の取り組みの看板です。
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この村は熊営村というらしく、かつて魏の夏侯惇や曹仁らの軍勢が駐留したという記録があるそうです。
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バスを降りてから40分くらい歩き、ようやく夏餉鋪村(シャーシャンプーツン)に到着。
「黄忠故里」はもうすぐです。
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小さな川を渡ると右側に林に囲まれた廟が見えてきます。
なんか高そうな車が停まってますが、ともあれここが黄忠を祀った「黄忠故里」です。
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こちらが黄忠です。
持ち合わせの小銭を置き、手を合わせます。
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黄忠は蜀の五虎将軍として活躍した老将で、三国志演義では定軍山(現在の陝西省漢中市勉県)の戦いにおいて魏の名将「夏侯淵」を打ち取る大活躍を見せます。
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主君であった劉備や軍師の諸葛亮、五虎将軍の同僚であった将軍たちも祀られています。
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黄忠故里を出て、またの元の農村の道を戻ります。
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えっちらおっちら歩いて新店乡のバス停まで戻り、路線バスで南陽市街に向かいます。
南陽武侯祠
南陽市街に到着。南陽武侯祠に向かう前に、先に明朝の許昌行きのバスの切符を購入します。
南陽バスターミナル。
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スマホで行き先のバーコードをスキャンすれば簡単に切符を購入できるようですが、わたしは中国の身分証を持っていないため買えませんでした。
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さて、窓口で切符を買おうとしてパスポートを提示したところで窓口のおばさんが怪訝な顔をして奥へ。戻ってくると、この窓口では買えない、インフォメーションセンターまで行ってくれと言われ、行ってみると今度は公安のおじさんがやって来て別室へ連れていかれ、何をされるのかと思ったら、パスポートを軽く確認しただけで終わりでした。
インフォメーションセンターに戻り無事明朝の許昌行きの切符を発券してもらい、特に問題なく終了。
さて、それでは南陽市街の南西にある「南陽武侯祠」へ。
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武侯祠は言わずと知れた蜀の軍師「諸葛亮」を祀った廟です。
武侯祠は中国の各地にあり、とりわけこの南陽は諸葛亮が劉備に三顧の礼で迎えられるまでの間住んでいた場所であるため、武侯祠としての規模も大きいものとなっています。
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南陽武侯祠の歴史は古く、三国時代が終わって間もない晋代に創建されました。
ちなみに、「晋」は魏に仕えていた司馬懿の孫である司馬炎が魏から政権を簒奪し建てた王朝です。
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連休ともあって訪れる人々も多いです。
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三顧の礼のシーンを蝋人形(?)で再現。この手の展示は中国の遺跡博物館などに行くとよくあります。けっこう出来がよいので面白いです。
写真左側、関羽と張飛が訝しそうに、
「なんだ兄貴の奴、臥龍だかなんだか知らないが、たかが若造にこんな礼を尽くしやがって」
という感じがよく出ていて味わいがあります。
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屋内ステージでは書画の先生の書の実演販売とお姉さんたちの楽器演奏や曲芸がありました。
お姉さんたちの芸は密かに期待して胸を熱くしていたのですが、傘で大きな箱を回したり寝転がって足でお手玉のようなことをしていて、昔新宿末廣亭で見た芸人さんたちを思い出しました。
期待の割にはあっさりした内容でした。まあ無料のショーに期待するのが仕方ないでしょう。
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石碑や諸葛亮の像を眺め、南陽武侯祠を後にして宿に向かいます。
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予約していた宿を追い出される
バスターミナル近くの宿を予約していたのですが、チェックインしてしばらくしたら受付のお姉さんが来て、「外国人泊められないから出て行って」と言われてしまいました。
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すでにスマホアプリ「去哪儿」から入金を済ませていたので、お姉さんに手伝ってもらってアプリのサポートセンターに電話して返金してもらいました。
この宿は料金が安かったので、「ダマで泊めてもらうことはできないか」などと粘ってみましたが、なかなかお姉さんも固く、外国人の泊まれる国際飯店を紹介してもらうに留まりました。
その後交代のお姉さんも来て「私たちの名前は日本語で何と言うか」と聞かれたので教えてあげて、しばらく談笑してこの宿を出ました。
国際飯店はむさい男の一人旅には過ぎる宿ですが、まあしょうがないでしょう。一泊160元。
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南陽人民公園
さっきの宿のお姉さんに繁華街の場所を教えてもらっていたので、そこに向かうことにしました。
今日最後の目的地「南陽人民公園」も近くなので好都合です。
なるほど大量のバイクが停まっています。
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どこかの飲食店で食事しようかと思いましたが、男一人で入れそうな感じの場所がなかったので、缶ビールを買って飲み歩くことに。
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さて、南陽人民公園に向かいます。
人民公園の辺りには、かつて曹操と張繍の戦いがあった「宛城」があり、この宛城の戦いで曹操の配下の猛将「悪来典韋」が戦死したことで有名です。
身体中に矢が刺さりつつも敵兵を両脇に抱え絞め殺しながら鬼のような形相で討ち死にした様は三国志の名シーンのひとつでしょう。
人民公園では陽が暮れても多くの人で賑わっていて活気があります。さすが中国という感じです。
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暗くてよくわかりませんが、なんとか石碑を見つけることができました。
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羊眼と牛雑麺
南陽人民公園を後にし、少し遅い夕食を。烤肉店でビールを飲みながら羊の串をかじります。
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「羊眼」というメニューもあり、その名の通り羊の目ん玉です。
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固くて噛みごたえが悪く、味も特になくあんまり美味しくありませんでした。眼にはいいかもしれません。
串を食べ終わった後、シメに牛雑麺を。
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牛ホルモンが入った麺です。スープはけっこう辛い。
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お店は私で店じまいのようです。
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麺を食べ終え、ぶらぶら歩いて宿に戻りました。
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1日目はここまで!
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