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【映画】乱

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※映画のネタバレがありますのでご注意ください。

最近面白そうな映画やってないのでゲオ行きました

2023年7月、自宅で鑑賞。

近所にあるTOHOシネマズで面白そうな映画をちっともやってないので、ゲオでDVD借りました。

1985年、日仏合作。監督:黒澤明、主演:仲代達矢。

私が借りたのはもちろん4Kではありません。

クロサワ映画の中では「用心棒」、「椿三十郎」、「七人の侍」は年に一度は観るくらい好きですが、「乱」や「影武者」は学生時代に一度観たっきりでありました。

カラー映画ならではの鮮やかな色彩。モノクロ映画時代が長かったクロサワならではのこだわり。

「ぜひ映画館の大スクリーンで観たい!」と思わずにはいられない、色とりどりの衣装や高原の緑に青い空。そして赤黒い血。

物語の筋書きはシェークスピアの戯曲と毛利元就の三本の矢の故事をもとにしているそうですが、ワタシはシェークスピアなんて読んだことありませんので、以下いろいろ指摘しても「シェークスピア読め」と言われて終わってしまいそうですが、、、

三本の矢は一瞬で折られる

仲代達矢(大殿)には3人の息子があり、それぞれ寺尾聰(長男)、根津甚八(次男)、隆大介(三男)。まだ若々しい武者振りの三男坊の隆大介は大胆不敵に周囲に食ってかかります。

老いた仲代達矢は宴の最中に居眠りをし、悪い夢を見ていたかのように突然目覚めて「寺尾聰に家督を譲る」と言い出し周囲を慌てさせます。

仲代達矢は息子たちに三本の矢の薫陶を授けます。

寺尾聰も根津甚八も三本束になった矢が折れずにいますが(気を使って折らなかったのかも)、これを三男坊の隆大介はふてぶてしく折って捨てます。

堪忍袋の緒が切れた仲代達矢は隆大介を絶縁します。

のっけから不穏な空気だらけの物語の幕開けです。

隆大介が三本の矢をいとも容易く折ったくだりは、「三本の矢の故事を下敷きにした」というよりは「三本の矢の故事の荒唐無稽を喝破した」シーンであるように見えます。

道の譲り合いごときでキレる大殿(仲代達矢)

広い心を持って家督を譲ったはずの仲代達矢ですが、城内で配下の者たちが寺尾聰の配下に道を譲っているのを見て、不平を言い出します。心が狭すぎです。

この時点で「この家はじきに滅ぶだろう」と確信できるシーンです。バカバカしくなって観るのをやめたくなる人もいるかもしれません。

奥さんに弱い長男(寺尾聰)

長男坊の寺尾聰はべっぴんの奥さん(原田美枝子)の尻に敷かれていて、事あるごとに主導権を握られています。原田美枝子は何やら深謀遠慮がありそうな気配です。

彼女は仲代達矢が滅ぼした家の女性です。

小物ぶりを発揮する次男(根津甚八)

絶縁された隆大介の居城を攻める寺尾聰と根津甚八ですが、どさくさに紛れて根津甚八配下の井川比佐志が寺尾聰を暗殺します。

根津甚八は寺尾聰のべっぴんの原田美枝子を嫁さんにしますが、例によって尻に敷かれます。

ただ、「原田美枝子がおれの奥さんになるならば」と思うと仕方がないことだとも思います。この頃の原田美枝子さんはその美貌もさることながら、体を張った演技で一時代を築きました。

原田美枝子さんについては深作欣二の「火宅の人」などがおすすめです。

ヨボヨボなのに意外とすばしっこい大殿

根津甚八にも追い出されて行き場の無くなった仲代達矢ですが、付き人のピーター(池畑慎之介)と一緒に放浪の旅に出ます。

髪も髭も真っ白な仲代達矢ですが、けっこう足腰軽く、すばしっこい動きをしてピーターを閉口させます。

ちなみに映画でいちばん軽い感じの役どころにも関わらず、硬っ苦しいセリフを吐き続けて観客を閉口させるピーターですが、シェークスピアの戯曲では道化とかピエロと称して、物語の誘導や緩衝材としての役割を務めさせたそうです。昔、高校の先生が教えてくれました。

水戸黄門における「うっかり八兵衛(高橋元太郎)」みたいな存在でしょうか。

最後に笑うのは無責任男(植木等)ワッハッハ!

仲代達矢を、じつはいちばん父親を心配していた隆大介が救いに来て物語は大団円となりかけますが、隆大介は根津甚八の火縄銃部隊により命を落とします。

そのショックで仲代達矢も息絶えます。

根津甚八の城は隆大介を婿にした植木等の軍勢が取り囲み、あえなく滅亡となります。

原田美枝子は井川比佐志に斬られ、根津甚八はその死のシーンすらありません。

1960年代に一世風靡した植木等、クレージーキャッツという存在を、この映画を観た外国人たち(日本人もですが)はどのくらい知っているのでしょうか。

想像するとバカバカしくて笑えます。

井川比佐志と油井昌由樹がよい

映像美が取り沙汰されがちな作品ですが、愚かな大殿と息子たちを支えた部将たちの存在感が光ります。

とりわけ、根津甚八配下の井川比佐志と、隆大介配下の油井昌由樹の名演は圧巻でありました。

井川比佐志さんは言わずもがなの名優ですが、油井昌由樹さんは寅さん第38作「男はつらいよ知床慕情」とか「キネマの天地」の撮影スタッフ役で覚えがあった方でしたが、もともとは出版や執筆の世界の人で、俳優専門ではないと知りびっくりしました。

 

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